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六金色(ろくこんじき)の旗(はた)

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ご本山でお勤まりになる御正忌報恩講や宗祖降誕会等の法要時には、本山前の堀川通りに大きい六色の旗が翻っています。この旗は「六金色旗」または「仏旗」といい、ご本山だけでなく、一般寺院でも、またご門信徒のご自宅でも、特別な仏教行事があるときに門前に掲げます。今回はこの「六金色旗」について、その由来と意味をお話ししましょう。

「六金色旗」は仏教徒である事を明示する旗なのですが、その歴史は仏教の歴史から比べると短く比較的最近出来たものなのです。アメリカの陸軍大佐ヘンリー・スティール・オルコットはかねてより仏教に興味をもち、1880年(明治13年)スリランカに渡航し正式に仏教徒となりました。そして「神智学協会」を設立し、『仏教教義要綱』(邦訳『仏教問答』)を著し、仏教の興隆に尽力しました。彼の数々の業績の一つに、1886年に新しい旗が考案され、ウェーサーカ祭(釈尊の誕生日)で掲揚されました。これが「六金色旗」で、1887年(明治20年)に日本にもこの旗が紹介され、それより仏教各宗派がこれを用いるようになりました。

さて、「六金色旗」の六つの色とは、青・黄・赤・白・淡紅(橙)・五色混合で、その色の由来は諸説があるようですが、『真宗大辞典』(岡村周薩編)に齋藤聞精師の考証が記載されていますので、その内容をご紹介致します。

六金色は釈尊入涅槃の時に放たれた光明であり、『涅槃経巻一序品』には、「2月15日の涅槃の時にその面門より種々の光を放たれ、その色に青・黄・赤・白・玻璃(はり)・瑪瑙(めのう)があり、あまねく三千大千世界を照らした。」と説かれています。この六色の光明が「六金色旗」の由来であります。青・黄・赤・白の各色は「六金色旗」そのままの色であり、また最後の瑪瑙も淡紅色ですので、玻璃以外の色はそのまま「六金色旗」の色に当てはまります。次の玻璃は水晶のような無色透明でありますから、色としてあらわすことができません。しかし無色透明であれば、あらゆる色を映し出すことが可能でありますから、この玻璃は隣接する五色を写し出しているとみることができます。ここに6番目の五色混合を玻璃の色とみて、釈尊入涅槃の時に放たれた光明を「六金色旗」の由来とする説であります。

お釈迦様の時代には、この五色は華美になるのでお袈裟に配色してはならないという決まりもあったようです。また、密教では五色の各色にそれぞれ「禅定」や「精進」などの意味付けがされています。浄土真宗の私たちは、やはり『阿弥陀経』の「池のなかの蓮華は、大きさ車輪のごとし。青色には青光、黄色には黄光、赤色には赤光、白色には白光ありて、微妙香潔なり。」や、『無量寿経』の「また衆宝の蓮華、世界に周満せり。一々の宝華に百千億の葉あり。その華の光明に無量種の色あり。青色に青光、白色に白光あり、玄(黒)・黄・朱・紫の光色もまたしかなり。」を思い出します。何れも、浄土の蓮華がそれぞれの色に光り耀いている様子が説かれ、私たちはやがてその蓮華の中に生まれていくのであります。

風にたなびく「六金色旗」を見て、浄土で光り輝く蓮華を想い浮かべることも有り難いことではないでしょうか。

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